原理

原理

MSEミキサーは、多数の小貫通孔及び中央に大貫通孔を有する混合エレメントの積層体を、リング板及びブラインド板により保持したものです。MSEミキサーに流入した流体は、積層体内部で連通する多数の小貫通孔を流通する際に分割・合流等により混合されるとともに、乱流や渦流等によっても混合されます。

混合のしくみ

外開きの混合エレメントAおよび内開きの混合エレメントBを交互に重ね、ブラインド板およびリング板により挟持します。混合エレメントAと混合エレメントBは、積層状態で互いの貫通孔間の仕切壁が重ならないように設計されています。そのため、MSEミキサーに供給された流体を半径方向に流通させることができます。

MSEミキサーに流体を供給すると、ブラインド板により直進を妨げられた流体は、MSEミキサーの内部に流入し、積層体内部を流通して外周部から流出します。流体はMSEミキサー内部の複雑に連通する貫通孔を流通する際に、積層方向および半径方向に分割・合流やせん断等を繰り返すことにより、効率的に混合されます。

積層方向 半径方向

アプリケーション

MSEミキサーはスタティックミキサー、撹拌翼、ポンプミキサー、MSE撹拌子として使用することができます。

特徴

条件に対応した設計が可能 混合エレメントの積層枚数、積層パターンの変更が可能。
混合エレメントの板厚、外径、内径、小貫通孔が任意に変更可能。
製作が容易 混合エレメントを積層して上下の板で挟むだけでミキサーが完成。
材質の選択が自由 混合エレメントを含む各構成部品は簡単な形状なので、プラスチック、金属等種々の材料で製作可能。

型式

スタティックミキサー

ニップルタイプ

型式 呼び径 長さ
XSN-8A 8A 1/4B 50mm
XSN-10A 10A 3/8B 50mm
XSN-15A 15A 1/2B 60mm
XSN-20A 20A 3/4B 60mm

※材質:SUS316

詳細

フランジタイプ

型式 呼び径
XSF-25A 25A 1B
XSF-32A 32A 1.1/4B
XSF-40A 40A 1.1/2B
XSF-50A 50A 2B

※材質:SUS316

詳細

攪拌翼

型式 外径 エレメント厚さ 対応軸径 混合エレメント
XRB-40 40mm 2mm 8mm 5組
XRB-50 50mm
XRB-60 60mm
XRB-80 80mm 10mm
XRB-100 100mm

※材質:SUS316。軸はSUS304とSUS316の2種類があります。見積・注文時にご指定お願いします。

型式 外径 エレメント厚さ 対応軸径 混合エレメント
XRA-80 80mm 2mm 10mm 5組
XRA-100 100mm 12mm

※材質:SUS316

詳細

攪拌子

型式 外径 エレメント厚さ 混合エレメント
XRS-20 20mm 2mm 2組
XRS-30 30mm 3組
XRS-40 40mm 4組

※材質:フッ素樹脂

詳細

 

概要・フランジタイプ

構成

MSEスタティックミキサーは、貫通孔を有する中間板の両側に混合エレメントを配置して、ブラインド板で挟持します。組立はボルト及びナットで固定するだけです。これをフランジ間に設置することにより、配管内で流体を混合することができます。ボルト及びナットの緩み止め対策として、緩み止めナットを採用しています。

MSEスタティックミキサーは、シンプルで効率的な構造を有するため、短い距離で効率的に流体を混合することができます。気体でも液体でも混合することができます。

混合原理

流体はブラインド板により直進を阻止され、上流側の混合エレメント積層体の外周部から積層体内部を通過して中空部に流出します。中空部に到達した流体は中間板の貫通孔を通過し、下流側の積層体の内周部から積層体内部を通過して外周部に流出し、配管内に戻ります。流体は、上流及び下流の積層体を通過する際に、「概要および基本原理」に示したように、積層方向及び半径方向に分割・合流し、さらにせん断等により混合されます。

混合の様子

緑色に着色した水と流動パラフィン(粘度:70mPa.s)を混合しています。

設置例

フランジ間に挿入するだけで流体を混合することができます(図(a))。既存ラインに設置する場合には、図(b)または図(c)のように中間板の片側だけにMSEスタティックミキサーを配置することにより、直管部にもエルボにも容易に設置することができ、また既存ラインにも設置することができます。

圧力損失

MSEスタティックミキサーの圧力損失の測定データを図に示します。混合エレメントの積層枚数、混合エレメントの配置等により、圧力損失および混合性能をコントロールできます。

 

ニップルタイプ

MSEスタティックミキサーに新たにニップルタイプが加わりました。混合エレメントの積層体がニップル内部に収納されているので、ミキサーを配管にねじ込むだけで使用することができます。サイズは8A(1/4B)~20A(3/4B)があります。MSEスタティックミキサーに新たにニップルタイプが加わりました。混合エレメントの積層体がニップル内部に収納されているので、ミキサーを配管にねじ込むだけで使用することができます。サイズは8A(1/4B)~20A(3/4B)があります。

構成

流体の流れ

混合エレメントAおよび混合エレメントBを交互に重ね、ブラインド板およびリング板により挟持します。混合エレメントAと混合エレメントBでは、積層状態で互いの貫通孔間の仕切壁が重ならないように配置されています。そのため、MSEスタティックミキサーに供給された流体を半径方向に流通させることができます。

混合エレメントの形状や積層枚数、ブラインド板およびリング板の枚数変更による分割・合流回数の調整により、混合特性を変えることができます。

水と空気の混合(15A ニップルミキサー)

水流速:0.5m/sec.(空塔速度基準)
空気流量:1L/min.

流動パラフィン(粘度70mPa.s)と空気の混合(15A ニップルミキサー)

流動パラフィン流速:0.5m/sec.(空塔速度基準)
空気流量:1L/min.

噴流の発生
ニップルミキサーにより噴流を発生させることができるため、洗浄機用ノズルとしての使用が可能です。動画は、洗浄用有機溶剤をニップルミキサーから噴出させたものです。

圧力損失

混合特性の評価

スタティックミキサーによる混合状態の可視化:JIS B 8702による測定

配管内を0.5m/sec.で流れる水流中に、蛍光顔料で着色した流体を注入してスタティックミキサーに供給し、スタティックミキサー出口に設置された可視化流路に導入します。可視化流路内で流体が流れる透明アクリル配管に対してレーザーシート光を垂直に照射し、(1)ミキサーを設置しない場合、(2)ケニックス型スタティックミキサー及び(3)MSEスタティックミキサーを設置した場合について管断面の状態を撮影します。 得られた断面画像の静止画に対して統計処理を行い混合性能について5つの指標を算出します。
なお、本測定方法は当社提案により平成27年度 経済産業省「新市場創造型標準化制度」に採択され、2018年8月に「JIS B 8702静的流体混合装置による混合性能測定方法」として制定されました。

可視化流路の詳細

水との相溶性の高いグリセリンを注入した場合

ミキサー無しの場合は、着色したグリセリンによる蛍光領域が明確に観察されますが、スタティックミキサーを設置した場合は両ケースとも蛍光領域は観察されず、混合が進行していることが示されています。

水との相溶性の低い1.5wt% CMC水溶液(粘度約1.9 Pa.s)を注入した場合

ミキサー無しでは、グリセリンの場合と同様に蛍光領域が明確に観察されます。一方、スタティックミキサーを設置した場合は、ケニックス型では明瞭な蛍光領域が観察されるのに対し、MSEでは蛍光領域はほとんど観察されず、より混合が進んでいることが示されています。

水に不溶性である食用油を注入した場合

MSEスタティックミキサーで水と食用油を混合しました。油粒子が微細されている様子がわかります。

当該方法は、例えば以下のようなケースを対象としても活用できます。

  • 同種スタティックミキサーにおける構成・構造の変更等設計変更による混合性能比較
  • 負荷変動に対するスタティックミキサーの混合性能確認
  • 同種流体の混合における流体の物性変化による混合度の変化

特徴・用途

特徴

  • 短距離で効果的に混合
  • 取り扱いが容易
  • フランジ間に挟むだけ、または配管にねじ込むだけなので設置が容易。
  • 積層枚数・積層パターンの変更により、異なる運転条件に対応可能。

用途

気体または液体の混合 液中への気泡分散
希釈、濃度調整、pH調整 流量差・濃度差の大きい流体の混合 等
  • 粒子等によりミキサー部が目詰まりを起こす可能性がある場合は、MSEスタティックミキサーの上流にフィルター等を取り付けてご使用願います。
  • 目詰まりした際の分解・洗浄等の際にエレメントを取り外す場合は、該当設備の電源を停止し、管内の流体が残っていないことを確認した上で取り外して下さい。
  • MSEスタティックミキサーの下流には、フィルター等を取り付けてご使用されることを推奨いたします。ミキサー部はボルト及び緩み止めナットにより強固に固定していますが、何らかの事情によりボルト及びナットが外れた場合に流れ止めとなります。

適用例

ガス混合 ガス濃度調整、溶接用シールドガス製造等
液混合 薬液の希釈、洗浄水製造、排水処理、濃縮原料の希釈、分散等
ガス・液混合 スチームミキサー、エアレーション、温水製造等

MSEスタティックミキサーの適用により撹拌槽及びポンプが不要になり、連続的に流体を混合することができます。

Q&A

スタティックミキサーについて

Q1.スタティックミキサーとは?
スタティックミキサーは、静的混合器または静的混合装置ともいい、流体が流れる管路中に設置して流体を流体自身が持つエネルギーで混合するものです。装置自身には可動部がなく、流体が装置内部に挿入されたエレメントを通過することによって、分割・合流、局部的なせん断、引き伸ばしや折り畳み等の作用により混合します。
エレメントは、孔や溝、それらを有する平板・湾曲板・傾斜板などで構成され、エレメントにより流体の流れを乱されて流体が混合されます。平板を180°捻った形状のエレメントを連ねたケニックス型スタティックミキサーや、その他多くのスタティックミキサーがあります。

Q2.スタティックミキサーはどのような用途に使用されますか?
主に気体や液体のような流体を混合するために使用されています。化学、食品、化粧品、塗料、廃水処理等多くの分野で使用されています。

Q3.スタティックミキサーを使用するメリットは何ですか?
スタティックミキサーは流体を配管内で混合することができるため、連続プロセスに使用できる点が最大のメリットです。撹拌翼・撹拌槽によるバッチ混合では撹拌槽に流体を出し入れする操作が煩雑ですが、スタティックミキサーを使用すればそのような必要がなく、撹拌翼や撹拌槽が不要になります。

Q4.スタティックミキサーのデメリットは何ですか?
基本的には流体がスタティックミキサーを1回だけ通過して混合されるため、混合性能が低いのがデメリットです。これを解消するために、循環ラインを構成して複数回スタティックミキサーを通過させて混合度を上げる方法もあります。それほど混合度を上げる必要がなく、1回通過させるだけで十分な用途もありますので、そのような場合には検討をお勧めします。弊社ではMSEスタティックミキサーのプランジタイプ、ニップルタイプ共に無償の貸出サンプルを用意していますので、ご検討の場合はぜひご連絡ください。

MSEスタティックミキサーについて

Q1.MSEスタティックミキサーはどのようなものですか?
MSEスタティックミキサーは、多孔板形状の混合エレメントを積層した積層体を基本構成とするスタティックミキサーで、流体が積層体内部を流れる際に、分割・合流、せん断等の作用を受けながら混合されます。20A以下の配管用のニップルタイプと、25A以上の配管用のフランジタイプがあります。

Q2.MSEスタティックミキサーの特徴は何ですか?
MSEスタティックミキサーの特徴としては以下の点が挙げられます。
・短距離で高効率に混合
・取り付けが簡単
フランジタイプはフランジ間に挟むだけ、ニップルタイプは配管にねじ込むだけで使用できます。

Q3.どのような流体が混合できますか?
液体、気体、液体と気体の混合が可能です。

Q4.液体に粉体が含まれている場合でも混合できますか?
積層体を構成する混合エレメントの隙間が小さいので、原則として粉体や粒子が含まれている場合の使用には適しません。ただし、粒子のサイズが小さければ使用できる可能性もありますので、購入前に無償の貸出品によるテストをお勧めします。

Q5.どのような混合に適していますか?
MSEスタティックミキサーは、特に流量比の大きい2流体以上の混合や、希薄流体の均一化に適しています。これは、ミキサーに供給された全流体が混合エレメント積層体を通過する際に、分割・合流やせん断作用を受けることによります。以下にJIS B8702に規定されている方法で0.5m/sec.の水流中に流量比0.2%の高粘性の着色流体を注入し、MSEスタティックミキサーによる混合後の出口配管断面の混合状態を示した動画があります。

Q6.不可変動時の混合性能はどのように変化しますか?
この動画は配管内流速が0.5m/sec.での動画ですが、配管断面の静止画を画像処理後に数値解析して混合状態を評価するJIS B 8702の評価方法によれば、0.3m/sec.の場合でも0.5m/sec.の場合とほぼ同様の混合状態を示すことが確認されています。ただし、流体の物性や操作条件によって変わります。

Q7.ファインバブルを発生させることはできますか?
水の循環ライン中に15Aニップルミキサーを設置し、ミキサー上流から空気を注入することにより20μmをピークとするマイクロバブルの発生を確認しています。詳細内容についてはお問合せください。

Q8.サイズはどのようなものがありますか?
標準品として以下のサイズのものを揃えています。
・ニップルタイプ :8A(1/4B)、10A(3/8B)、15A(1/2B)、20A(3/4B)
・フランジタイプ :25A(1B)、32A(1.1/4B)、40A(1.1/2B)、50A(2B)
ニップルの肉厚はJIS Sch40相当です。フランジタイプは、ボルトに内接する中間板の外径がJIS 10Kフランジ対応になっています。
65A以上のフランジタイプや、JIS Sch10以外のフランジ対応も可能ですので、お問合せください。今までの最大サイズの実績は100A配管用です。

Q9.洗浄は可能でしょうか?
フランジミキサー、ニップルミキサーは共に分解洗浄可能ですが、ニップルミキサーは混合エレメントが小さいため再組立に困難を伴います。専用ジグを用意していますので、必要な場合はお問合せください。また、内部品のみの販売もしています。

Q10.材質について
材質の変更は可能です。PTFEやチタン等でも製作可能ですが、PTFEの場合は最小15A(1/2B)になります。詳細についてはお問い合わせください。

Q11.圧力損失について
圧力損失は、フランジタイプの25Aでケニックス型スタティックミキサーの約3倍ですが、混合エレメントの積層枚数の増減や積層方法により、圧力損失を変えることができます。積層枚数を増加させれば流路面積が増加しますので圧力損失は減少し、逆に積層枚数を減らせば流路面積は減少して圧力損失は増加します。また、混合エレメント積層体を中間板の両側に積層せずに、片側のみとすることによっても圧力損失は減少します。カタログ掲載以外にも詳細データがありますので、お問い合わせください。

Q12.ニップルミキサーはどのように組換えできますか?
ニップルミキサーのニップル内部に収納されている混合エレメント積層体の構成は、下図1のように混合エレメント積層体が2枚のブラインド板及び1枚の中間板に挟まれており、これにより流体は外⇒内⇒外に流れます。これに対し、図2のようにブラインド板及び中間板の枚数を増やすことにより外⇒内⇒外の回数を増加させることができるので、圧力損失は増加しますが混合は促進されます。特注により対応可能ですので、ご希望の方はお問い合わせください。

Q13.今までどのような実績がありますか。
今までの主な実績について、以下に示します。
・液体凝集剤の希釈
・次亜塩素酸の希釈
・エマルジョン製造用プレミキサー
・往復動ポンプの動作不良対策としてのポンプ入口における気泡分散
・切削水中への油分の混合
・ファインバブル生成
液体凝集剤の希釈では、従来の撹拌翼・撹拌槽による希釈よりも液体凝集剤の使用量が減少し、設備の省スペース・コストダウンも実現させました。

Q14.貸出品について
ニップルサイズは8A~20A、フランジサイズは25A~50Aの標準品の全てのサイズのスタティックミキサーについて無償の貸出サンプルを準備しています。ご希望の場合はご連絡ください。

 

撹拌翼・ポンプミキサー:概要

MSEミキサーに回転軸を取り付けて回転させることにより、撹拌翼として使用することができます(MSE撹拌翼)。このMSE撹拌翼を撹拌槽内で回転させると、翼中に保持されていた液体は遠心力により翼外周から吐出され、翼上下の中空部からは液体が吸い込まれます。これらの作用により撹拌槽中の液体は、MSE撹拌翼内で連通する貫通孔を通過する際に分割・合流・せん断等により効率的に撹拌されます。

MSE撹拌翼は、液面の変動が小さいマイルドな撹拌が特徴で、翼内部には同じ形状の小室が円周状に配列されるので、一様なせん断場が形成されます。混合エレメントの積層枚数を任意に設定できるため、積層枚数の増減により現場での撹拌槽内の循環流量、撹拌動力の調整が可能です。
また、羽根のような偏平形状の板が直接流体の力を受けるのではなく、突出部分の無い円筒形状の翼が回転するため、回転が安定していて回転時の軸のブレ・振動が小さく抑えられます。構成部材は単純な形状なので、ステンレス、チタン、樹脂等種々の材料により製作可能です。

撹拌槽内およびMSE撹拌翼内部の流体の流れ

ディスクタービン翼との混合状態の比較

撹拌翼・ポンプミキサー:多様な撹拌

MSE撹拌翼はその独特の構造により、以下に示すような多様な撹拌が可能です。

気体の吸込み撹拌

MSE撹拌翼は翼中央に中空部を有するので、軸取付け部を積層体下部に配置することにより、開放された翼上部の中空部から気体を吸い込みながら撹拌することができます。翼の回転により吸い込まれた気体は、積層体内部で液中に細かく分散されます。そのため、外部から気体を供給するためのブロワー等の動力を必要としません。

全体 撹拌槽内径 200mm/翼外径 100mm/積層枚数 40枚(20組)/回転数 650rpm

粒子の巻上げ撹拌

MSE撹拌翼の翼中央の中空部から、撹拌槽底部に沈んだ粒子の巻上げを伴う撹拌が可能です。翼上部をブラインド板で塞ぐことにより流体は撹拌翼底部のみから巻き上げられるため、粒子の巻き上げ効果はさらに強くなります。

海砂(比重:2.6 粒径:0.25~0.37mm)
撹拌槽内径 200mm/翼外径 100mm/積層枚数 20枚(10組)

翼下部にノズルを設置した粒子の巻上げ撹拌

MSE撹拌翼の翼下部の中空部にノズルを設置することにより、邪魔板がない場合に槽底中央部に集まった粒子を吸い上げることができます。吸上げの状態は、液の比重・粘度、粒子の比重・粒径、翼回転数・外径、混合エレメント積層枚数、ノズル内径等により変わります。

海砂(比重:2.6 粒径:0.25~0.37mm)
撹拌槽内径 200mm/翼外径 100mm/積層枚数 10枚(5組)/ノズル内径 20mm/翼回転数 180rpm

積層枚数を多くして撹拌

MSE撹拌翼は積層枚数を任意に設定できますので、下の動画のように、多数の混合エレメントを積層することにより撹拌槽内の循環流量を増加させることができます。撹拌動力が大き過ぎる場合には、積層枚数を減らすことにより小さくできます。

流動パラフィン中への着色水の巻上げ撹拌(混合エレメント60枚)

撹拌翼・ポンプミキサー:撹拌所要動力および混合特性

撹拌所要動力

撹拌所要動力は、その撹拌翼がどの程度のエネルギーを流体に与えることができるかを示す重要な指標です。図に示すように、MSE撹拌翼は次のような動力特性を有します。
1)積層枚数が多いほど動力は大きい。
2)孔サイズ、半径方向仕切壁、円周方向仕切壁の数等により動力が変化する。

混合特性

MSE撹拌翼と平羽根ディスクタービン翼(FBDT)の混合特性の比較のために、同じ撹拌動力の条件の下で、90wt%のグリセリン水溶液中に塩化ナトリウムを添加し、撹拌槽内の電気伝導度が一定値を示すまでの時間を測定しました。MSE撹拌翼ではFBDT翼に対し混合時間が20%短縮され、回転数の影響を除いた無時限混合時間では38%短縮されました。

撹拌翼・ポンプミキサー:特徴・用途

特徴

  • 翼内部で一様なせん断場を形成
  • 積層枚数の増減により撹拌槽内循環流量、撹拌動力の調整が可能
  • 軸ブレ・振動の少ない安定した回転
  • ステンレス、チタン等種々の材料で製作可能

用途

  • 泡立ち・気体の巻き込みを抑えたい撹拌
  • 粒子の巻き上げ撹拌
  • 気体の吸い込み撹拌
  • 反応系の撹拌

撹拌翼・ポンプミキサー:ポンプミキサー

MSEを回転軸に取り付けて、ケーシング内で回転させることにより、吸い込んだ流体を連続的に混合し、昇圧して吐出できるポンプミキサーを構成することができます。
バルブ(*1)によるポンプ内部の循環流量制御及び、バルブ(*2)による循環ラインの流量制御により、混合流体の混合状態をコントロールすることが可能です。

Q&A

Q1.MSE撹拌翼とは?
MSE撹拌翼は、多孔板状の混合エレメントの積層体、ホルダー、リング板、ブラインド板等から構成される翼本体に、回転軸を取り付けたものです。
MSE撹拌翼を撹拌槽内で回転させると、翼を構成する混合エレメント積層体内部に保持されていた流体が遠心力により翼外周部に吐出され、翼上下から翼の中空部に流体が吸い込まれます。吸い込まれた流体は再び翼外周部から吐出されますが、その際に混合エレメント積層体を構成する混合エレメントの多数の貫通孔が連通してできた、複雑でありながら規則正しく整列した流路を流れる際に、分割・合流、せん断等の作用により効率的に混合されます。

Q2.MSE撹拌翼の特徴について
MSE撹拌翼は、羽根タイプの翼のように偏平状の板が突出しておらず、外観はほぼ円筒形状です。そのため、液面の乱れが少なく、マイルドに撹拌することが可能です。その他に以下のような特徴があります。

  1. 変動が小さく、泡の巻き込みが少ない
    流体をマイルドに撹拌することができます。
  2. 粒子の巻上や気体の吸込み等の撹拌が可能
    ホルダーの位置やブラインド板の有無により、粒子の巻上げや気体の吸込み等多彩な撹拌が可能になります。
  3. 混合エレメントの積層枚数の増減により、撹拌動力や流体の循環流量の調整が可能
    混合エレメントの積層枚数が変更が可能なため、撹拌動力や流体の循環流量を調整できます。従来の翼と置き換えた場合に、動力に余裕があればさらに混合エレメントを追加することにより、流体の循環流量を増加させて効率的に撹拌することができます。
  4. 混合エレメントの形状の変更により、流動特性の変更が可能
    例えば、混合エレメントの孔数を増加させて分割・合流の回数を増加させ、反応系の撹拌において未反応物質の接触面積・接触回数を増加させることができます。
  5. 回転が安定しているため回転軸の振動が小さい
    外観形状が略円筒形であるため、羽根タイプの翼のように偏平状の板が流体の抵抗を直接的に受けず、回転が安定していて回転軸の振動が抑制されます。

Q3.MSE撹拌翼の動力特性について
内径200mm、邪魔板4枚の撹拌槽を使用して、液高さ200mmの条件で外径100mmのMSE撹拌翼と6枚平羽根ディスクタービン翼(以下、「DT翼」。)との撹拌動力を比較しました。結果は、DT翼の羽根高さと同じ混合エレメントを積層した場合、動力は約40%になりました。従いまして、DT翼の羽根高さの2.5倍程度積層にすることによりほぼ同等の動力になります。

Q4.撹拌可能な流体の粘度について
現在までの最も高粘性の液体を撹拌した実績として、粘度約20000cPと1000cPの液体を1:1として容器に入れたものを、外径150mmのMSE撹拌翼により良好に撹拌できた事例があります。

Q5.標準品について
標準品は外径40、50、60、80、100mmのものがあります。以下に仕様についてまとめています。特注品として外径100mm超のものも製作可能ですので、ご希望がありましたらお問合せください。最大外径320mmの実績があります。
詳細はこちらをご覧ください。
先端にネジ加工された回転軸が付属しており、XRB-40、50、60については外径8mm×長さ300mmの回転軸が、XRB-80、100については外径10mm×長さ300mmの回転軸が付属しています。回転軸の材質は、SUS304とSUS316がありますので、注文時にご指定ください。
なお、特注で回転軸を止めねじで固定するタイプも製作可能ですので、既設撹拌翼との交換や、撹拌翼の取り付け位置を変更したい場合にはお問い合わせください。

Q6.追加の混合エレメントについて
追加部品として、混合エレメント5組とボルト・ナットがセットになったものを販売しています。この場合のボルトは混合エレメント10組の積層高さに対応する長さとなっていますので、追加部品の購入により10組の積層高さのMSE撹拌翼とすることができます。

Q7.材質について
翼部の標準品の材質はSUS316ですが、PTFEやチタン等種々の材料での製作が可能です。ご希望の材質がありましたらお問い合わせください。回転軸については、SUS304製とSUS316製があります。

Q8.混合効率について
MSE撹拌翼とDT翼について撹拌動力が等しくなるように回転数を調整し、90%グリセリン水溶液に塩化ナトリウム粒子を溶解させて、所定の電気伝導度に到達する時間を混合時間として混合速度を比較しました。その結果、MSE撹拌翼はDT翼に対して混合時間が約20%短縮されました。この時の回転数はMSE撹拌翼が400rpm、DT翼が500rpmでしたが、回転数の影響を排除した無次元混合時間(所定の電気伝導度に達するまでの回転の総数に相当。)で比較すると、MSE撹拌翼は約38%小さい値となりました。

Q9.粒子の巻き上げ撹拌について
MSE撹拌翼は、翼中央に中空部があり、そのため粒子を中空部から吸い込んで巻き上げることが可能です。混合エレメント積層体内部では複雑な流路が形成されていますが、ある程度の大きさの粒子は流路を通過して吐出されますので、粒子の巻き上げ撹拌が可能です。中空部に繋がるノズルを設置することにより、翼が槽底から離れていても粒子を巻き上げることが可能です。粒子の巻き上げの状態は、翼外径、積層枚数、回転数等により変わりますので、ご希望の方は無償の貸出サンプルによるテストをお勧めします。

Q10.気体の吸込み撹拌について
回転軸が接続されるホルダーを翼下部に設置することにより、MSE撹拌翼の中空部の上部が開放されますので、ある程度の回転数まで上げれば気体を吸い込むことが可能になります。そのため通常の気液撹拌のようにスパージャー等で気体を供給することなしに、気体を液中に分散させることができます。気体の吸込みや分散の状態は、翼外径、積層枚数、回転数等により変わりますので、ご希望の方は無償の貸出サンプルによるテストをお勧めします。

Q11.反応系の撹拌への適用について
ポリスチレン重合反応において、MSE撹拌翼と羽根タイプの翼であるかい十字翼により撹拌して生成ポリスチレン粒子の粒度分布の比較を行った結果を以下に示します。
図から分かるように、MSE撹拌翼では粒子径は大きいですが、粒径分布がシャープで単分散の粒子が得られています。これに対して、かい十字翼の場合はピークの粒径は小さいですが、2つのピークがあり各々のピークの個数はMSE撹拌翼より小さくなっています。
以上の理由として、撹拌槽内および翼近傍のせん断応力分布の違いが挙げられます。MSE撹拌翼では、翼内部の各混合エレメントの貫通孔により形成される複雑かつ規則正しく整列した連通流路内に、ほぼ一様なせん断応力場が形成されていますが、羽根タイプの翼であるディスクタービン翼では翼周辺のせん断応力は大きいもののその他の部分では小さく、広い範囲で分布しています。また、MSE撹拌翼では撹拌槽内の大部分の流体が翼内部の連通流路を通過しますが、ディスクタービン翼では羽根周辺の流体とその他の流体では羽根から受ける力の差が大きく、羽根からの距離により流れも異なると考えられます。
以上の理由により、MSE撹拌翼によれば撹拌槽内部の流体の流動状態を制御することが可能であり、これにより単一でシャープなポリスチレン粒子の粒度分布が得られたものと考えられます。

Q12.混合エレメントの孔配置について
混合エレメントの孔の配置により分割・合流の回数を変更したり、粒子が含まれる流体を取り扱う場合には孔を大きくすることが可能です。特に反応系の撹拌の場合には、分割・合流の回数が変化して反応効率に影響を及ぼすことが考えられます。例えば、外径同一で、内径をほぼ同じとして半径方向の分割数を変更し、流動解析及び動力測定についての結果をまとめた以下の表が参考になります。

分割回数 2 3 4
外径/内径[mm] 100/50 100/48 100/49
循環流量(解析)[L/sec.] 3.87 3.53 3.24
分割数×循環流量[L/sec.] 5.81 8.83 11.34
動力(実測)[kW/m3.liq.] 1.468 1.397 1.290

 図及び表に示したように、外径は100mmで内径は48~50mmの範囲でほぼ等しく、半径方向の分割回数を2~4回まで変更しています。翼吐出流量は流動解析によるものですが、半径方向の分割回数が多くなることにより半径方向への流動抵抗が大きくなりますので、循環流量は分割数2回では3.87/min.ですが、4回では3.24/min.と約16%減少しています。しかしながら、反応には(循環流量×分割回数)が影響すると考えられ、そうすると分割回数4回の混合エレメントが適していると考えられます。本件に関連して、山口大学創成科学研究科の佐伯教授による、MSE撹拌翼によるBDF製造におけるメチルエステル化反応率向上についての発表(*1)があります。
*1):貝出、佐伯、化学工学会第50回秋季大会講演要旨集、FF120 (2018)

Q13.その他MSE撹拌翼が適している用途について
Q8で述べたように、MSE撹拌翼では、撹拌槽内の大部分の流体が一様なせん断場が形成された翼内部の連通流路を通過しますので、均質な混合を実現しやすいといえます。そのため、例えば粒子の沈殿防止のために撹拌翼による撹拌が必要な場合において、過混合により液性状が変質してしまうような場合の撹拌にも適していると考えられます。

Q14.洗浄について
右の写真のようにボルト・ナットを一組だけ残して取り外し、残した一組のボルト・ナットを緩めて、混合エレメントを自由に動く状態にします。この状態で水等により洗浄すれば、容易に洗浄することができます。超音波洗浄機の使用によりさらに効果的に洗浄できます。

Q15.現在使用している翼のMSE撹拌翼への交換について
例えば、ディスクタービン翼をMSE撹拌翼に交換する場合では、こちらで述べたようにMSE撹拌翼の方が動力が小さいので、回転軸径が同じであればそのまま交換することが可能です。その状態で動力に余裕があるようであれば、さらに混合エレメントの積層枚数を増加させることにより、MSE撹拌翼を通過する流体の流量を増加させることにより撹拌効率を上げることが可能になります。
なお、こちらで述べたように、MSE撹拌翼は略円筒形状のため回転軸の振動は羽根タイプの翼と比較して抑制されますが、重量は羽根タイプの翼と比較して増加する場合が多いので、軸の振動については確認が必要です。

Q16.貸出品について
全てのサイズのMSE撹拌翼について無償の貸出サンプルを準備していますので、ご希望の際はご連絡ください。外径100mmのものについては、貫通孔や内径サイズを変更したものを多種類揃えています。ご希望の場合はご連絡ください。

 

撹拌子:概要

ビーカー等の容器内部で流体を混合する撹拌子としては、主に棒状のものが使用されています。 しかし、棒状撹拌子は容器中央部の流体があまり撹拌されないため、混合に時間を要していました。MSE撹拌子はその特有の構造によって流体の滞留部をなくすことにより、この問題点を解決しました。

ポイント1.短時間で均一な混合
容器内部に滞留部が発生しないため、短時間で均一に混合することができます。
ポイント2.自由にカスタマイズ
支持台と混合体は着脱可能なので、混合体を構成する混合エレメントの積層枚数の増減が可能です。

流体の流れ

内開きの混合エレメントA及び外開きの混合エレメントBを交互に重ねて積層します。混合エレメントAと混合エレメントBでは、積層状態で互いの貫通孔間の仕切壁が重ならないように配置されているため、MSE撹拌子中央部から吸い込まれた流体は半径方向に流通させられ、側面に開いた貫通孔から流出します。

撹拌子:脱色試験による比較

脱色試験

3リットルビーカー内で長さ60mmの棒状撹拌子、外径54mm及び37mmのMSE撹拌子を、200rpmで回転させた脱色実験による混合時間の比較を以下に示します(混合時間は、撹拌子回転数、ビーカー容量、液物性等により変わります。)。

動画は3リットルビーカー内で200rpmで回転させたものです。混合時間は容器サイズ、回転数等により変わります。

Q&A

MSE撹拌子について

Q1.MSE撹拌子とは?
MSE撹拌子は、多孔板状の混合エレメントの積層体を、棒状撹拌子を組み込んだ台座の上にボルトで取り付けて構成されています。通常の撹拌子と同様にビーカー等の容器内に入れてマグネチックスターラー上に設置して撹拌します。 MSE撹拌子を容器内で回転させると、積層体内部に保持されていた流体は遠心力により外周部に吐出され、撹拌子中央の中空部からは流体が吸い込まれます。撹拌子に吸い込まれた流体は積層体内部を流れる際に、積層体内部の複雑な流路を流れる際に、分割・合流、せん断等の作用により効率的に混合されます。

Q2.MSE撹拌子の混合性能について
MSE撹拌子は、積層体内部の複雑な連通流路により流体を分割・合流等するため、効率的に混合することができます。また、棒状撹拌子やクロス状突起を備える撹拌子は、回転中心付近の回転速度が小さいため容器中央に滞留部が発生しますが、MSE撹拌子は中央の中空部から容器中央の流体を吸い込むため滞留部が発生しません。特に低回転数での使用においてMSE撹拌子は有効です。 以下に、棒状撹拌子やクロス状突起を有する撹拌子との脱色試験による比較動画があります。

Q3.サイズについて
標準品は外径20、30、40mmの3種類があります。外径20mmのものはフラスコ内で使用することが可能です。

Q4.特注品について
特注品も製作可能ですので、ご希望がありましたらお問合せください。外径60mmや100mmの撹拌子の製作実績があり、これらの場合は棒状撹拌子を使用せずに、台座に直接磁石を埋め込みますので、磁力の調整が可能です。

Q5.材質について
材質は通常の撹拌子と同様にPTFE製です。

Q6.使用可能な流体の粘度について
グリセリン(粘度約1000mPa.s)程度までは混合可能なことを確認しています。使用可能な粘度はマグネチックスターラーの性能に大きく影響されますので、高粘度の流体を取り扱う場合には磁力の強いマグネチックスターラーの使用をお勧めします。特注品で台座にネオジム磁石を埋め込むことも可能ですので、ご希望の方はお問合せください。

Q7.混合エレメントの孔配置について
MSE撹拌子はMSE撹拌翼と同様に混合エレメントの孔配置を変更することが可能ですが、外径が小さいために変更は限定されます。ご希望がありましたら、ご連絡お願いします。

Q8.台座の棒状撹拌子について
棒状撹拌子は長時間の使用により磁力が低下する場合がありますが、この場合には棒状撹拌子を交換することにより、初期状態での磁力を回復できます。

Q9.貸出品について
全てのサイズのMSE撹拌子について無償の貸出サンプルを準備しています。ご希望の場合はご連絡ください。